連載パロディ小説 「 Dirty Go Blood 」 第一回
[20160601]

 白狼PunkRockerS開設10周年記念作品








 荒涼とした砂漠地帯を一台の乗用車が走る。
アメリカ西海岸、ユタ州。ラスベガスから少し離れた所には、至る所に国立公園が点在する。
「ああクソ、あのレンタカー屋の店員、これが一番いい車だって言ったのに」
車を運転する男が毒づく。

彼の運転する乗用車は小刻みに振動しており、今にも走りながら車が分解してしまいそうな程
不安定な挙動だった。

「はは、海外はいろんな事があるから……」
助手席の女性が苛立つ男性をなだめる。
会話は日本語だ。

 二人は新婚の夫婦である。
(夫婦とはいっても、父と娘に見えるほど年が離れていた)
夫の仕事がひと段落したこともあって正月休みを利用した海外旅行中であった


 車はプスンプスンと、気の抜けた音をあげて遂に止まってしまった。
何度キーをまわしてもエンジンがかからない。
「ああ、困ったなどうしよう」
周囲を見回しても民家の類は見当たらない。荒涼とした岩山が見えるばかりだ

 
途方に暮れていると前方に人影が見えた。こちらに歩いてくる。


 髪が長い。どうやら女性のようだ。
細身のダメージジーンズに、半袖のシャツというラフないでたちだった。


女が口を開く。

「日本人?」

「あ、日本の方でしたか。良かった、僕たち車がエンストしちゃったみたいで…」

夫が事情を説明する。
会話する距離まで近づいてわかったが、女は非常に整った顔立ちをしており、
幼妻は女優か何かかと思ったが、その表情は変化に乏しく、どこか人形めいた怖さを感じる美貌であった


「僕たち、新婚旅行中なんです。」

人懐こい夫が身の上を話し出す。



「僕は虚淵(うろぶち)っていいます。こっちは嫁のまどか」


 嫁の名前を聞いた瞬間、無表情な女の顔にわずかな反応があったが、
それは瞬き一つで消えてしまうほどの仕草だったので夫婦のどちらも気づかなかった


 紹介が終わった後一瞬の間が開く。



「アケミです」


 女は言った。


                (つづく)



2016-06-01(Wed) 01:13 パロディ小説 | TB(0) | コメント(2) | 編集 |

コメント
  • from 藍三郎

    こういう車を運転している夫婦って、殺人事件の第一発見者になったり、未知の怪物に襲われたり、あるいは人を轢いてしまってそれが事件の発端に・・・とか、いかにも酷い目に遭いそうな導入だなぁと思って読んでいたらそう来ましたか。最初にパロディ小説って書いてましたものねw

    2016-06-03(Fri) 20:31 | URL | #- [ 編集 ]


  • from 白狼の聖

    構想から書き出すまでに3年もかかってしまいました。
    読んでもらえてうれしいです

    全5回で完結の予定ですけど、
    なんせ小説を書くのが人生で初めてなのですごい難しいですw



    2016-06-04(Sat) 21:54 | URL | #YiHNIk/6 [ 編集 ]


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